牛肉の産地・北海道「十勝」 その美味しさの秘密を徹底解明!

牛肉の産地・北海道「十勝」 その美味しさの秘密を徹底解明!

十勝で畜産農家を営なむ若手ホープKさんに和牛について教えてもらいました

北海道は、澄んだ空気と冷涼な気候、清らかな水、良質な草を育てる肥沃な大地に恵まれ、牛肉生産に適した環境です。

この豊かな自然環境のなか、生産者が愛情をこめて育てた北海道の和牛。
中でも広大な平野が広がる十勝地区は「十勝和牛」の飼育が盛んです。北海道・十勝産和牛のおいしさに親しんでいただきたいという思いを込めたブランドです。

北海道産牛肉は大きく分けて3種類

北海道の肉用牛には、いくつかの種類があります。

“黒毛和牛”に代表される「和牛」、
搾乳が中心の乳用牛に和牛を交配して生まれた「交雑牛(F1)」、
そして雄の乳用牛を肉用に育てた「乳用種肥育牛」が主な種類になります。

黒毛和牛は、霜の降り具合、肉の色味、締まりなど肉質の良さが特徴です。
赤身の滑らかな歯ざわり、緻密に入りこんだ霜が、柔らかい口当たりと牛肉の風味を生み出しています。

交雑牛も飼養頭数は北海道が日本一です。
和牛を交配した交雑牛は和牛の血統を受け継いでいるので、適度にサシが入り脂質の旨味もありながら赤身の味わいも感じやすい牛肉です。

赤みが美味しい乳用牛

北海道ではホルスタイン種を中心とした乳用牛が多く飼育されています。

雄のホルスタインは、肉用として肥育されます。これを「乳用種肥育牛」と言い、北海道の肉用牛のおよそ3分の1を占め、日本一の産地でもあります。

乳用種肥育牛は、味わいが濃く感じられる赤身が多いのが特徴で、脂肪分が少なく肉本来の旨味を感じることができます。

牛は暑いのが苦手

北海道の気候は涼しく、冬は極寒です。
しかし乳用のホルスタインはもちろん、和牛も寒さに強く、暑さに弱い動物です。

ストレスや病気も少なく、気候的に北海道が最も過ごしやすい地域なのです。

さらに牧草地の面積が広く、牛の主食でもある良質な牧草やデントコーンが手に入りやすいことから、多くの和牛がこの北海道の大地で生まれ、全国へと出荷されています。

北海道の豊かさと匠の生産技術が融合

北海道の豊かな農地からは、稲わらや麦わらなどが産出され、北海道和牛にはこうした餌(えさ)も与えられています。
また牛の寝床(敷料)には、木材のチップ等を粉砕したものやおがくずが使われることが多くあります。

北海道は森林面積が広く、製材加工が行われている地域もあり、牛の寝床に活用をされています。
このことからも北海道は恵まれた環境と言われています。

さらに牧場で牛の糞を発酵させた堆肥(有機質肥料)は、牧草地や田畑へ還元し、環境に配慮した循環型の農業が北海道内の各地で行われています。

このような環境の中で北海道内には「十勝和牛」をはじめ、地域に根ざした和牛のブランドが数多くあります。

 

北海道和牛の代表ブランド「十勝和牛」とは

北海道の十勝地区は北に大雪山、西に日高山脈と雄大な山々に囲まれた地域です。

長い日照時間と清らかな水に恵まれた肥沃で広大な十勝平野は、小麦やジャガイモなどの畑作、酪農や畜産が盛んな全国一の農業地帯です。
こんな最高の場所で育った和牛が美味しくないわけがありません。

「十勝和牛」は、肉専用の黒毛和種であり、北海道内で生まれ十勝で肥育された牛です。
十勝の生産者484戸(2016年4月現在)でつくる十勝和牛振興協議会の会員が厳しい条件の下で肥育し、ホクレン十勝枝肉市場に上場したものが条件となります。

美味しい肉を育てるには飼料が決め手

黒毛和種の生産農家にも2種類あり、子牛を10カ月ほど育て、素牛(もとうし)として主に道外に出荷する繁殖農家と、さらに20カ月を要して出荷する肥育農家とに分けられます。

和牛は生後3カ月までは母乳を、10カ月まではビタミンが豊富な乾草と子牛専用飼料を与えて体を作ります。

その後11カ月以降は稲わらと栄養価の高い肥育用配合飼料を中心に、少量の“ばかす”と呼ばれるサトウキビのしぼりかすなどを配合した飼料で腸を整え、生体が約800キロに達する30カ月で出荷されます。

長期肥育と耕畜連携

肉用ホルスタイン種の肥育期間が約22カ月、交雑種が約25カ月なのに対し、「十勝和牛」の肥育期間が長いのは、体重が増えるのが遅く、長期間を掛けて脂肪分を蓄積させるためです。

小麦やジャガイモ、豆類を生産する畑作農家と酪農・畜産農家が混在する十勝では畑作農家から敷き藁(わら)などを酪農・畜産農家へ、牛の糞尿を発酵させたたい肥を畑作農家へ、それぞれ交換する「耕畜連携型」の牧畜ができるのも「十勝和牛」の品質を高める重要な要素となっています。

商標登録でブランド牛の仲間入り

2011年に「十勝和牛」は地域団体商標に登録を果たし、十勝地区では「十勝川西長いも」「大正メークイン」などに続き7件目、道内では16件目の登録となりました。

牛肉に関して、全国的には「松坂牛」「米沢牛」「神戸ビーフ」などがすでに登録済みで「十勝和牛」はその仲間入りを果たしています。

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