野菜の「クズ」を栄養価の高いスープに

野菜の「クズ」を栄養価の高いスープに

「地産地消」「国消国産」「身土不二」「一物全体食」。これら4つの言葉の意味するところは似て非なるものですが、「食べ物を大切にしよう」「身近な食材に目を向けよう」など、根底は一致しています。毎日の生活で、何気なく、当たり前のように私たちは食べていますが、たまには「食」についてじっくり考えてみませんか?

食品の廃棄は「非道」です

私が食についてもっとも“非道”だと思っているのは「廃棄」です。食べ切れずに残して、何日も冷蔵庫に入っていて、それが次第に奥の方へと追いやられ、気が付いた時には傷んでいた…という経験は誰もが持っているでしょう。冷蔵庫の食材は計画的に調理しなければなりません。そのためには「買い過ぎない」「作り過ぎない」ことが重要、と常日頃肝に銘じています。

地域で採れたものは地域で消費

さて、最初に示した「地産地消」ですが、これは「地域で産出したものは地域で消費しよう」という意味です。地域で消費することで運送コストが低く抑えられ、運送にかかる時間も短縮できることから味や栄養価が低減する前に食すことが可能になります。さらに地域の経済が回ることで、巡りめぐって自分自身も恩恵にあずかることができるという意味も込められています。

国民が食べるものは国内で生産

「国消国産」は比較的最近の言葉です。輸入農水産物に頼ることなく、国民の食べるものは国内で生産しようということです。食品の高騰や円安傾向、ウクライナ戦争などにより、クローズアップされていますが、元々日本の食料自給率がとんでもなく低いことが問題です。家畜の飼料や農薬、肥料、種子などの、資材についても輸入に依存している部分が多く、国の食料生産、流通、貿易そのものを見直そうという動きです。

人体は地域に同調しながら変化

「身土不二」は仏教用語です。自分の身体と土は一体であり、自分の住んでいる国、土地でとれたものを食べよう、という考え方です。人間は自分たちが住む国や地域の環境に合うよう、長い年月をかけて身体を変化させてきました。私たち日本人は、先祖代々食べ続けてきた、地産、国産の食材を使用した食習慣が体に合っているという考え方です。また「旬」も重要視しています。春には老廃物を排出し、夏は体を冷やす、秋には栄養を蓄える、冬は体を温めるなど、旬の野菜にはそれぞれの効用があるのです。

命を丸ごといただくという精神

「一物全体食」は私が最も感銘を受け、皆さんにも賛同していただきたい言葉です。食物は全体でひとつの命であり、それを丸ごと余すところなくいただく、手を合わせ「命」をいただくという考え方です。野菜はできるだけ皮をむかず、葉や根も使う。小魚はまるごと食べ、切り身の魚も皮や骨の周りの身も食べる。米は白米よりも、精白しない玄米。

栄養豊富に含んでいる「皮」

食物を丸ごといただくということは、当然ながらその食物が持つ栄養が全部取れるということです。根菜類や果実は特に皮の直下に栄養素が多く含まれているので、皮は洗うだけにして、むかないで食べてください。皮をむいて食べるというのはごく最近の習慣で、江戸時代から伝わるたくわんも切り干し大根も皮はむいていません。

「ベジブロス」にはファイトケミカルが豊富

しかし、どうしても野菜や果物は「クズ」が出てしまいますよね。そんな方にお勧めなのは自家製の「ベジブロス」です。ベジブロスは野菜ブイヨンです。野菜くずを少量ずつでも冷蔵庫、冷凍庫にためておき、ある程度たまったらまとめて煮るだけです。本来なら捨ててしまう野菜のくずには、ファイトケミカルが含まれているのです。

植物が自分を守るための成分「ファイトケミカル」

ファイトケミカルとは植物が紫外線や虫 細菌など、植物にとって有害なものから体を守るために作りだされた色素や香り、辛味、ネバネバなどの成分のことです。人間の体にとっては必須栄養素ではないものの、健康を維持するためには重要な成分であることが明らかになってきています。

「クズ」の方が栄養価が高い場合も!

例を挙げるとニンジンの皮にはβカロテン、大根の皮にはビタミンC、玉ねぎの皮にはケルセチンなど、中身より「野菜クズ」の方が豊富な栄養を持っています。これらを捨てずにエキスを煮出してスープとして使うことで、おいしいだけではなく、栄養素を効率的に摂取できます。これが「ベジブロス」の魅力です。ベジブロスはカレーやシチュー、煮物、炊き込みご飯など、料理に水の代わりに入れると出汁の効いたワンランク上のおいしさになります。ぜひ試してみてください。

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