北海道のナチュラルチーズ:新鮮な生乳からヨーロッパ級の味わいへ

北海道のナチュラルチーズ:新鮮な生乳からヨーロッパ級の味わいへ

北海道のナチュラルチーズ:日本一の生乳生産からヨーロッパ級のチーズへ

北海道はナチュラルチーズ王国です。全国に300あると言われるナチュラルチーズ工房。そのうち約90の工房が広い北海道内に点在しています。北海道は生乳生産日本一。新鮮でおいしい牛乳から造られる北海道のナチュラルチーズは、製造技術が飛躍的に進歩し、今や本場ヨーロッパに引けを取りません。特に道東の十勝地区は22の工房が集中しています。恵まれた自然環境の中で育った牛たちが出してくれるおいしいミルクを使って、個性豊かなナチュラルチーズを製造しています。

北海道ナチュラルチーズ&ミルクフェア:職人の独自の味追求とその背後のストーリー

年に1度開かれる「北海道ナチュラルチーズ&ミルクフェア」は帯広と札幌で開催。輸入チーズに引けを取らない北海道産のナチュラルチーズに大勢の買い物客が押し寄せます。北海道のナチュラルチーズは種類も豊富で、職人たちはコンクールやコンテストで競い合いながら独自の味を追求しています。そのことが「北海道のチーズは美味しい」と言われるまでレベルアップした要因なのです。

 

北海道のフェルミエチーズ:農家一貫製造とその背後の情熱と魂

北海道のナチュラルチーズ工房は大半が「フェルミエ」です。フェルミエとはフランス語で「手作りの」とか「農家製の」といった意味があります。チーズの場合は大手乳業メーカーの「工場製品」に対して「農家製品」の意味で使われます。搾乳からチーズ製造まで、1戸の農家でつくられた北海道のフェルミエチーズには、農民たちの魂が込められています。

北海道のチーズ工房:コンクール受賞歴を持つフェルミエチーズとその職人たちの情熱

北海道内のナチュラルチーズ工房には全国、世界のコンクールで数々の賞を受賞しています。共働学舎新得農場の「さくら」は春にしか製造しない限定品。第5回山のチーズオリンピックで金メダルを受賞したのをはじめ、国内外のコンクールで8回の受賞歴がある、北海道ナチュラルチーズ界を代表するチーズです。また十勝千年の森キサラファームのヤギチーズ、あしょろチーズ工房のラクレットチーズ、十勝野フロマージュのカマンベールチーズ…多くのフェルミエチーズがコンクールで受賞しています。

このようにチーズ職人たちが賞を目指して互いに切磋琢磨する中で、品質のレベルが上がり、「ザ・ジャパニーズ・チーズ」の地位を確立したのです。

ナチュラルチーズとプロセスチーズの違い:原料から製法までの基礎知識

チーズは大きく分けてナチュラルチーズとプロセスチーズの2種類があります。ナチュラルチーズは生乳と塩のみの製品がほとんどです。一方、プロセスチーズの原料はナチュラルチーズです。ナチュラルチーズを融かして乳化剤などを加え、発酵を止めたものがプロセスチーズです。6Pチーズやベビーチーズなど、アルミ箔に包まれて売られているのは、だいたいがプロセスチーズです。

 

 

チーズの種類と特徴:フレッシュからハード、日本での人気とヤギミルクのシェーブルまで

チーズの定義は乳に乳酸菌や凝乳酵素(レンネット)を加えて、乳成分(たんぱく質)を凝固させて作ったものです。モッツァレラチーズなど、熟成させないチーズはフレッシュタイプ、表面を白カビで覆ったカマンベールなどは白カビタイプ、青カビを繁殖させたゴルゴンゾーラなどは青カビタイプ、1年ほど熟成させるゴーダチーズやラクレットなどはセミハードタイプ。日本ではセミハードタイプが人気です。また、1年以上じっくり時間をかけて熟成させるパルミジャーノレジャーノなどはハードタイプ、チーズの表面を塩水やその土地のアルコールで洗うウォッシュタイプなどがあります。またヤギのミルクで作るチーズはシェーブルと呼ばれ、フランスでは珍しくないですが、日本ではとても珍しい個性的なチーズとして人気があります。

 

おまけ

以前、私はチーズ工房のある観光施設に勤務していました。そこで手作りチーズについての知識を少しだけ身に着けました。チーズは発酵食品なので菌を扱います。工房内の業務の8割は清掃、殺菌。それはそれは地味な仕事です。雑菌が混じると、雑味がでます。雑味が出たチーズは有無を言わさずすべて「廃棄処分」です。工房裏のごみ小屋に捨てられているチーズを見たとき、職人の悲しさと悔しさと無念さを身に染みて感じました。

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