山芋や長芋、大和芋(つくねいも)の違い、それぞれの特徴-詳細なガイド

山芋や長芋、大和芋(つくねいも)の違い、それぞれの特徴-詳細なガイド

おろし器でするとトロトロ、ネバネバになる根菜、長芋や山芋、自然薯、つくね芋、大和芋など、いくつか呼び名があり、それぞれ形状や粘り具合、風味が違っています。この記事ではそれぞれの持つ特徴やレシピについて解説します。

ヤマノイモ科ヤマノイモ属の分類

植物学的な分類では、いずれもヤマノイモ科ヤマノイモ属の植物です。山芋はヤマノイモ科の「総称」で、どの芋も山芋の一種と言えます。
自立できない「つる性」のため、栽培には支柱を立ててネットに這わせるように育てます。収穫作業も一網打尽にはできず、手作業に頼る部分が大半です。農家にとっては手間のかかる作物で、単価が高くなるのも理解できます。

生産量が最も多い「長芋」は台湾やアメリカへも輸出

長芋はその名の通り長いのが特徴です。細い髭のような根が全体に生えており、すりおろした時の粘り気は他に比べて弱く、さらっとしています。長芋の生産量は、都道府県別で北海道、青森、長野、岩手の順です。食糧需給率が低く、食料の調達を輸入に頼っている日本において、長芋は数少ない「輸出している野菜」です。

2021年の輸出量は6773㌧、額にして23億円でした。 輸出先の第1位は、台湾で3481㌧、11億円、第2位はアメリカで2146㌧、7億6000万円で、上位2か国が8割以上を占めました。海外では「とろろ飯」には使用せず、薬膳料理に利用されるケースがほとんどです。

大和芋、いちょう芋、つくね芋の呼び名の違い

ゴロッとした形状の大和芋は、関東以北では「つくね芋」と呼ばれています。逆にイチョウの葉の形に似た「いちょう芋」は関東で「大和芋」と呼ばれることが多いようです。関東と関西、近畿地方など、地方によって呼び方が違い混乱しそうです。いずれも長芋より味が濃厚で粘りも強く、ほんのり甘みがあり、とろろご飯で食べることが多い芋です。特に「いちょう芋」は粘り気が強いのが特徴で、すりおろしてから油で揚げたり、フライパンで焼いて食べてもおいしくいただけます。

進化する長芋:新品種の長芋「ネバリスター」

比較的粘り気が弱い長芋ですが、品種改良により「ネバリスター」という新たな品種の長芋が生まれました。1997年に大手種苗株式会社によって大和芋に長芋を掛け合わせてできた品種で、2005年に出願、2008年に品種登録された新しい品種です。コクがあり強い粘り気が特徴の大和芋と、みずみずしくシャキシャキとした食感の長芋。ネバリスターは両親の”いいところだけ”を受け継いで生まれた品種です。甘さがあり、ふわふわとした口当たり。糖度は長芋の約1.5倍、粘度は長芋の約2.5倍もあり、今後の人気に期待が持たれます。

日本の在来種「自然薯」

これまで出てきたヤマノイモ科の山芋は中国が原産地ですが、「自然薯」は日本古来の山芋です。栽培もされていますが、自然の中で育った天然の自然薯は希少価値が高く、珍重されています。ビタミンやミネラルを多く含み、細胞の増殖機能を促進する作用もあると言われています。

山芋を使ったお好み焼きレシピ:グルテンフリーにも対応

山芋にはお好み焼きやチジミの生地としての利用法もあります。山芋には多くの多糖類が含まれているため、お好み焼きをふわふわの食感にしてくれます。さらに小麦粉ベースの生地に比べ、ビタミンやミネラルなど栄養価もアップします。また小麦粉を一切使用せず、山芋だけでお好み焼きを作ることで、グルテンフリー(※1)の対策にもなります。小麦粉に含まれるグルテンを摂取することで、世界的に「セリアック病」の患者数が増えている(※2)と言われています。

まとめ

山芋、長芋、大和芋(つくねいも)の違いと特徴と、これらの山芋のいいところを受け継いだ新品種「ネバリスター」について、本記事では詳細に解説しました。これらの芋の特性を活かして、様々な料理をお楽しみください。

※1グルテンフリー:グルテンは小麦粉に含まれる「グルテニン」と「グリアジン」という2種類のたんぱく質に水を加えて練ることでできる成分。グルテンフリーはグルテンを含まない食品。
※2:出典:欧米・豪州等6か国、組織における グルテンフリー表示に係る調査報告書

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