北海道の海が育む絶品エビ:甘エビ、ボタンエビ、北海シマエビの徹底解説

北海道の海が育む絶品エビ:甘エビ、ボタンエビ、北海シマエビの徹底解説

鮮やかなピンク色の甘エビ、濃厚な味わいのボタンエビ、繊細な甘みを持つ北海シマエビ。北海道の冷たい海で育まれた三種類のエビは、それぞれ異なる魅力を持ち、食卓を彩ります。本コラムでは、これらの「北海道の宝石」と呼ばれるエビたちの生態、漁獲地、味わい、食べ方などを詳しくご紹介します。それぞれのエビの特徴を知ることで、より美味しく味わうことができます。ぜひ、北海道の豊かな海が生み出した絶品エビの世界をご堪能ください。

北海シマエビ:繊細で上品な味の探求者

北海シマエビの生態と特徴

北海シマエビは、北海道東部の寒冷な海域に生息する希少なエビで、北海道の水産業で重要な位置を占めています。
生息地
北海シマエビは主に北海道のオホーツク海から根室湾、厚岸にかけての冷たく栄養豊富なごく限られた海域でしか獲れません。
生態
北海シマエビは底生生物で、日中は海底の砂や泥の中に潜んで休むことが多く、夜になると活動を開始して餌を探します。このエビの食性は雑食で、主にデトリタス(有機質の堆積物)、小型の甲殻類、プランクトンなどを食べます。
特徴
北海シマエビの最も特徴的な点は、その色彩です。体は透明感のある黒っぽい緑色をしており、体側には細かい白い縞模様があります。茹でると鮮やかな赤色に変色します。また、このエビは成熟すると性転換を行うことが知られており、初期はオスとして生活し、後にメスへと変わります。この性転換は繁殖戦略の一部と考えられています。
北海シマエビは繊細な味わいが特徴で、漁師や水産加工場が水揚げした後すぐに塩茹でして急速冷凍で出荷されることが多いです。資源は減少傾向で、持続可能な利用と保護が求められます。

北海シマエビの漁場

北海シマエビは、以下の北海道の海域で主に獲れます:
オホーツク海
オホーツク海は北海シマエビの主要な漁場の一つで、この海域の冷たい水はシマエビの生育に適しています。特に海域の深い部分で豊富に見られます。
根室海峡
北海道の東側、知床半島と根室半島の間の海域で獲れます。この地域にある尾岱沼では北海シマエビを漁獲するための「打瀬舟(うたせぶね)漁」で漁獲します。複数の帆を船体と平行に掲げて、風を捉えながら 滑らすように網を引いて獲る漁法で、地域の風物詩にもなっています。

太平洋東部
厚岸から根室半島方面の海域でもよく水揚げされます。厚岸湖の汽水湖に繁茂するアマモがシマエビの生息場所を形成します。

漁獲のピーク時期
北海シマエビの漁獲ピーク時期は、初夏から夏にかけてです。具体的には、6、7月に多く漁獲されます。この期間、エビは脂が乗り味が最高になるため、この時期に獲れたシマエビは特に価値が高く評価されます。

北海シマエビの味わいと食べ方

何といっても塩茹でで食べるのが一番です。水揚げ後に塩茹でし冷凍されて出荷されます。それを解凍し、殻をむいて食べます。素材の味と食感がとても優れている希少なエビなので、調理せずにそのまま食べるのが、このエビを堪能するもっともよい方法です。

ボタンエビ:大型で濃厚な味わい

ボタンエビの生態と特徴

ボタンエビは、北海道周辺の寒冷な海域に生息する大型のエビで、日本国内では特に美味しいエビの一つとされています。
サイズ
ボタンエビは一般に体長が10cmから15cm程度に成長し、最大で20cm近くになることもあります。その大きさから「大エビ」とも呼ばれることがあり、食用としての価値が非常に高いです。
特徴
ボタンエビは体色が特徴的で、生時には透明感のあるピンク色をしており、お腹の子は緑色をしています。身は比較的太く、しっかりとしており、肉質は柔らかく甘みが強いのが特徴です。この甘みとプリプリとした食感は、多くの食通から高い評価を受け「エビの王様」の異名を持ちます。
生息環境
ボタンエビは主に水深200mから500mの深海に生息しており、砂泥底を好む傾向があります。寒冷な海域に適応した種であるため、北海道の周辺海域やオホーツク海、日本海の冷たい水域に多く見られます。
ボタンエビは小魚や甲殻類、海底の有機物を主に食べます。昼間は海底で休むことが多く、夜になると活動を開始して餌を探します。
ボタンエビの漁獲は主にエビかご漁で、旬は春先と初冬の2回です。この時期に獲れるボタンエビは特に品質が良いとされ、寿司ネタや刺身、各種料理で広く利用されています。

ボタンエビの獲れる場所

オホーツク海
オホーツク海は北海道の東部に位置し、冷たく栄養豊富な水が特徴です。この海域はボタンエビを含む多くの甲殻類にとって理想的な生息環境を提供しており、オホーツク海で捕獲されるボタンエビは、特に肉質が良く、甘みが強いことで知られています。
日本海(北海道西部沿岸)
日本海側の漁場もボタンエビの重要な漁獲地です。ここでは深海域での漁が行われるため、ボタンエビのサイズが大きく、質が高い傾向にあります。日本海は流れが緩やかで、栄養豊富なため、エビの成長に適した環境が整っています。
宗谷海峡
北海道の北端に位置する宗谷海峡は、冷たい潮流が特徴で、ボタンエビを含む様々な海洋生物が豊富に生息しています。この地域で捕獲されるボタンエビは、冷たい水温の影響で肉質が引き締まり、味が濃厚です。
噴火湾
ボタンエビの産地として有名で、北海道のエビ漁業の中で最も古い明治35年ごろから始まりました。漁獲量としても、噴火湾産が北海道全体の約半数を占めます。

ボタンエビの味わいと食べ方

ボタンエビはその大きさと豊かな風味で、お刺身やすしネタがほとんどですが、ほかにもいろいろな料理方法に適しています。以下は、ボタンエビを使った代表的なレシピのいくつかです。
ボタンエビの塩焼き
エビの背中に沿って軽く切り込みを入れ、背わたを取り除きます。エビ全体に軽く塩を振り、予熱したグリルで両面がきれいに焼けるまで焼きます。焼き上がったら、レモンを搾ってからお召し上がりください。
ボタンエビの蒸し物
ボタンエビをきれいに洗い、背わたを取り除きます。エビに料理酒と塩を振り、生姜の薄切りを上に乗せます。蒸し器を用意し、エビが透明からピンクに変わるまで中火で約5分間蒸します。蒸し上がったエビは、お好みでポン酢やマヨネーズと一緒にお楽しみください。
塩焼きや蒸し物はエビの自然な風味を生かす調理法で、その新鮮な味わいを最大限に引き出します。

甘エビ:北海道のピンクの宝石

甘エビの生態と特徴

甘エビは一般的に体長が10センチメートルから15センチメートル程度に成長します。そのサイズと鮮やかなピンク色が特徴で、「ピンクの宝石」とも称されます。

生態
甘エビは主にプランクトンや小さな甲殻類を食べます。また、甘エビは二形性を持ち、生涯で性別が変わることが知られています。通常、若い段階でオスとして成長し、成熟するにつれてメスに転換します。このエビの生態システムでの役割は小型でありながら重要で、多くの大型魚類の重要な食料源となっています。

甘エビの主な漁場

オホーツク海
オホーツク海は、甘エビの豊富な漁場として知られており、特に北海道の北東部沿岸に位置するこの海域は、甘エビの質と量の両方で非常に高い評価を受けています。深海の冷たい水と豊富なプランクトンが甘エビの成長に適した環境を提供しています。

宗谷海峡
北海道の最北端に位置する宗谷海峡も、優れた甘エビ漁場の一つです。ここでは、流氷の下で育った甘エビが捕獲されることがあり、特有の甘みを持つとされています。

これらの漁場以外にも、北海道の太平洋側や日本海側でも甘エビは漁獲されています。

甘エビの漁獲時期

甘エビの漁獲時期は春先と初冬の2回とされています。この時期には甘エビが最も肉厚で味も濃いため、最高の品質が期待できます。特に初冬に獲れる甘エビは特に旨味が濃く、その甘みとプリプリした食感が最大の魅力となっています。

甘エビの味わいと食べ方

刺身:甘エビの最もポピュラーな食べ方です。新鮮な甘エビを殻から取り出し、わさび醤油に漬けて食べるとエビの甘みとともに、プリプリとした食感が楽しめます。
寿司:甘エビの寿司は、その甘みを直接感じられるシンプルながら絶品のネタです。シャリの上に甘エビを2尾のせ、軽く塩を振るか、わずかにレモン汁をたらすと、風味が引き立ちます。
塩茹で:シンプルに塩を加えた湯で甘エビを茹でる方法です。茹で上がりに氷水にさらして急速に冷却することで、食感を良く保ちます。塩茹でにすることで、甘エビの自然な甘みと旨味が最大限に引き出されます。
天ぷら:甘エビの天ぷらは、外はサクサク、中はジューシーな食感が楽しめます。エビを衣にくぐらせて揚げ、塩か天つゆで殻ごと食べるのがおすすめです。
特別なレシピ
これらの方法以外にも、甘エビはカルパッチョや炊き込みご飯、パスタ、サラダなど、様々な料理に活用することができます。甘エビの自然な甘みを最大限に引き出して、美味しい料理をお楽しみください。

まとめ

北海道の海は、甘エビ、ボタンエビ、北海シマエビなど、多彩な味わいのエビを育んでいます。甘エビは甘みとプリプリとした食感、ボタンエビは濃厚な旨味、北海シマエビは繊細な味わいが特徴です。それぞれのエビの特徴を知ることで、より美味しく味わうことができます。ぜひ新鮮なエビを堪能し、その美味しさを通じて北海道の海の恵みを感じてください。

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